犬にとってくるみは食べさせてもいいものなのでしょうか?
検索エンジンで調べてみると、与えない方が良い食べ物に分類されることが
多いようですが、果たしてそれは本当のことなのでしょうか?
気になったので徹底的に調べてみました。

くるみを与えるとどうなるの?

結論から言うと「くるみ」は過剰に与えたりしなければ、あまり問題には
ならないと答えておきます。
ただし、たくさん与えてしまうと以下のようなことが起こるかもしれません。

クルミ

下痢やおう吐になる可能性

くるみは食物繊維がくるみ100g中7.5gと比較的多く、また脂質も多く消化に悪いため、
与えすぎると消化不良を起こして下痢や軟便、嘔吐をする可能性があります。

便秘を招くことも?

食物繊維は消化に悪く下痢を起こす可能性があるのですが、
食物繊維は水分を吸収し大きく膨らむという性質があります。

腸内の水分を吸収すると、腸内の水分が不足して
便が硬くなり便秘を起こすという可能性も出てきます。
ですので、与えすぎには注意が必要するのと同時に水分はこまめに摂らせるようにしましょう。

肥満の原因になる?

くるみは脂質が多く、カロリーはくるみ100g中674kcalもあります。
参考:くるみのカロリー|簡単!栄養andカロリー計算

くるみの脂質は不飽和脂肪酸といって太りにくい油とされていますが、
量を摂り過ぎるとやはりカロリーが多いため、
総カロリーを引き上げてしまい、結果肥満につながるということも
考えられます。クルミを主食にするような与え方をしない限りは
そこまで心配する必要もなさそうですが、何事もほどほどにと言うことですね。

胃痛などにより元気がなくなる

一時的に摂取しすぎた場合に、消化不良などによって胃痛など胃腸障害を
起こす可能性が考えられます。

その場合、元気がなくなる、食欲がなくなるといったことが考えられます。
時間が経てば次第に回復すると思いますが、長引くような場合は
動物病院で診てもらった方が良いでしょう。

おならが多くなる

くるみは食物繊維の多い食べ物です。
食物繊維が腸壁を刺激して大腸の蠕動運動が活発になり、食物繊維の含まれるもの(今回はくるみ)を
分解する際に腸内細菌により発酵しガスが溜まりおならが出やすくなるといったことはあるかと思います。

ただし、おならは体内の有害物質などを排出するものなので、
体に悪いということはないかと思います。といっても与えすぎは何かと影響が出てくるので注意は必要ですが。

くるみで尿路結石になるって本当?

結論から言うと、これは間違いでしょう。

調べているとサイトによっては、くるみはリンが多く含まれているため、
尿石のもとになるというような書き方がされています。

まず、リンの摂り過ぎで尿石のもとになるという根拠がどこから来たのか?
説明すると、尿路結石は2種類あります。
[check_list image=”check1-r”]

  • ストルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)
  • シュウ酸カルシウム結石

[/check_list]

この二つなのですが、
ストルバイト結石は、リン・マグネシウム・アンモニウムで構成されているため、
リンを多く摂取することで結石になりやすくなるという考えのようです。

ですが、ストルバイト結石の主な原因は、細菌感染です。
細菌に感染することにより、尿のpH(ペーハー)がアルカリ化することで
結石ができるという仕組みです。
参考:犬の尿石症 | 病名から調べる犬の病気 | 犬といっしょ | アイリスペットどっとコム

尿が酸性のもとでは、結晶は溶けていきますので、
多少リンを多く摂取したからと言って、結石ができやすくなるとは考えにくい
ということが言えるでしょう。

ただし、犬の場合ストルバイト結石は、

ストルバイトは膀胱内の感染を伴うタイプと無菌性のタイプの二つがあります。

引用:結石の2大スター|墨田動物医療センター 吉田動物病院

というように、感染を伴うタイプの他に、無菌性のタイプも存在しているようですが、
無菌性のタイプのものは、なぜ起こるのか?原因はよくわかっていないようです。

ですので、リンの過剰摂取は避けようということなのかもしれませんが、
とりわけ、くるみを主食として食べさせるわけではなく、
おやつ感覚で食べたからと言って、リンの摂り過ぎになるとも思えません。

 

ここでリンの多く含まれる食品を見てみると、
(100g中のリン含有量)

  • ベーキングパウダー 3700mg
  • 煮干し 1500mg
  • するめ 1100mg
  • 脱脂粉乳 1000mg
  • プロセスチーズ 7300mg
  • 味付け海苔 710mg
  • 焼き海苔 700mg
  • たまご(卵黄) 570mg
  • ごま 570mg
  • ビーフジャーキー 420mg
  • 豚レバー 340mg
  • ハム(ロース) 340mg
  • くるみ 280mg
  • とうもろこし(玄穀) 270mg
  • 鶏ささみ 220mg

参照:リンの多い食品と、食品のリンの含有量一覧表|簡単!栄養andカロリー計算

このようになっております。

見ていただくとわかるように、くるみに含有されているリンは多いと言っても、知れています。

アメリカのVCA動物病院によると以前ストルバイト結石になった犬の場合はリンなどのストルバイト結石の元になる成分を極力摂らないようにという食事療法が必要になることもありますとありますが、
最大の危険因子は尿路感染であるということから、ストルバイト結石ではリンの摂取を気にする以上に、
[check_list image=”check1-g”]

  • おしっこを我慢させない
  • 水分をこまめに与える
  • よく運動させる
  • ストレスを発散させる

[/check_list]

などを気にされた方が尿石予防になるかと思います。
また、特に何も起こっていない成犬の場合くるみを主食にするわけでもありませんし、それほど心配する必要はないかと思われます。
参考:Struvite Bladder Stones in Dogs |VCA Animal Hospitals

アレルギーには注意!!

くるみにアレルギーを持っている犬もいます。

これはくるみにのみ言えることではなくどの食物にも
アレルギーになる可能性はあるとしたうえでの話ですが、
もしアレルギーを持っている場合、
下痢、嘔吐、体をかゆがったり湿疹などの皮膚症状が出る、
元気がなくなるなどの症状が出る場合があります。

初めて食べさせるような場合は、一度にたくさん与えたりせずに、
ごく微量から始めていった方が良いかもしれません。

また、食物アレルギーは1歳頃までに発症する、つまり幼犬に多いので
幼犬に与えるときは特に注意が必要と言えるでしょう。
参考:イコロ動物病院|犬のアレルギーについて

また、いつ食べさせても、少し食べさせても何らかの症状が出るような場合は
動物病院で診てもらった方が良いでしょう。

スポンサーリンク

くるみの適切な量はどれくらい?

くるみは、カロリーや食物繊維が多く、
与えすぎると悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。

適切な量は定められているわけではありませんし、
犬種や体格によっても量は異なってくるので一概にこれくらい
ということは言えませんが、

量としては、ご飯のトッピングに少量、ご褒美に少量というように
与えすぎないようにすることが望ましいかと思われます。

くるみを与える際の注意点とは?

犬の多くは、かまずに飲み込むため、
くるみが大きい状態で与えてしまうと、丸呑みし消化に良くないということと
小さい犬などでは腸に詰まってしまう可能性が出てきますので、

できるだけ細かく砕いてから与えるようにしましょう。

また、くるみによっては味付けされているものがあります。
味付けされているものは、塩分などが気になるほか、
味が濃いため、薄味のものを食べなくなるという可能性も
出てきますので、与える場合は、味付けされていないものを与えることをお勧めします。

くるみにはこんな効果が期待できる!?

くるみには、先にも述べたように不飽和脂肪酸が多く含まれています。
もう少し詳細に言うとオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)という脂質がくるみに豊富に含まれています。

くるみには、健康に良いと今注目を浴びているオメガ3脂肪酸がナッツ類で最も多く含まれています。

引用:くるみのオメガ3 脂肪酸|カリフォルニアくるみ協会

この脂肪酸には以下のような働きがあります。

オメガ3脂肪酸はアレルギー反応を抑制する働きを持っています。

引用:オメガ脂肪酸と犬のアレルギーと皮膚炎について|アイアンバロン

ということから、クルミを適切な量与えることは、犬のアレルギー対策になると言えるでしょう。

また、オメガ3脂肪酸には、

  • 皮膚や被毛の健康を維持し、毛づやと毛ぶきに良い
  • アレルギーやアトピーの症状の緩和
  • 心臓と血管の病気、ガン(腫瘍)の予防効果が期待される

引用:あなたの愛犬は大丈夫?犬と脂肪酸、オメガ3とオメガ6の本当の顔|With-Corgi.com

という効果も期待できるようです。

それだけでなく、くるみには、オメガ6脂肪酸(リノール酸)も含まれており、
このオメガ6脂肪酸は皮膚や被毛などの健康に欠かすことはできません。
万が一オメガ6脂肪酸が欠乏した場合、毛艶が悪くなったり、毛がぱさつく、フケが多くなるなどの
影響が出ると言われていますので、必要な栄養と言えます。

このオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は体内でつくられることがないため、
必須脂肪酸と言われ、体外から摂り入れる必要があります。

ただし、オメガ6脂肪酸に関しては摂取しすぎると炎症を促進したり血液が固まりやすくなる、
免疫が過剰に活発になるなどの作用もありますので、摂り過ぎに注意する必要と、不足に注意する必要はあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
くるみは過剰摂取と与え方に気を付ければ、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸という
必須脂肪酸が含まれていますので、これらが不足している犬にとっては
与えた方が良い食べ物となります。

与えない方が良い食べ物としてくるみが取り上げられていることがありますが、
不足しても困る栄養も含まれているため、少量与えてみるのも良いかもしれません。

ただし、くるみに対してアレルギー症状が出る犬もいますので、
この部分の注意は必要となるかと思います。